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ロンドン生活の振り返り:数字の話

竹内絢香

この記事を書いているのは、170日のロンドン生活が残り2日となったタイミングです。
いやまだ現地におるのにもう振り返っとんのかーい!と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、帰国後は日本の美味しいご飯に目がくらんで振り返りどころではなくなっていることが予想されるため、このタイミングで一度、ここまでの「成果」を振り返ってみたいと思います。

●なんていうか、「修行」だった

「ロンドンで制作してみよう!」と思った経緯はコミックエッセイにも描いてきた通りで、「とにかくイギリスが大好きだから、現地に行きた~い!」というのが第一です。
ですが、実はそこには別の理由もありました。

以前絵のお師匠さんがこんなようなことを仰っていたのです。
「物事を始めるのに遅いなんてことはないが、30を過ぎている作家が本気でヒットを生み出したいと思うのであれば、それはもう生活のあらゆることを吸収するという勢いで目と手を鍛えていかないと間に合わない」
これを聞いて、今年35歳になった私は「Oh…」とうなだれました。
私は美大を出ておらず、20代後半までサラリーマンをやっていたので、「制作に人生を全振り」した経験がほぼなかったんですよね。
特にコロナが起きてからはとにかく心身の健康が第一!で「生活」を優先していて、なるべく無茶な働き方をしないようにと、どこか「ブレーキを意識しながら制作している」という感覚がありました。
その一方で、夢中で漫画を描いてて気づけば朝を迎える…みたいな生活に、ず~っと憧れがあったんですよね。
私には描きたいものやキャラクターがいて、とにかく漫画が上手になりたいので、いつか制作に全振りした暮らしが出来ないだろうか…とぼんやり考え続けていたのです。

そんなことを思ってるうちに、コロナによるリモートワークが進み、私が所属するコルクというエージェントで、複数の作家さんや社員さんがより働きやすい環境を求めて移住する様子を見かけました。
これを見ていて、「いいなぁ~」と思いました。
私は今暮らしている東京が大好きなんですが、もうちょっと「雑音」の少ない場所で、もりもり制作してみたい…という気持ちが芽生えたわけです。
で、どうせやるなら地球上で一番好きな場所で、思う存分制作しよう!とロンドン行きを決意しました。
つまり今回のロンドン生活は、私にとっては「生活の諸々をそぎ落とし、制作に没頭するという、作家修行」だったのです。

●時間の話

そんなわけで、滞在中は「とにかく作品を沢山作る」を目標にしていました。
いっぱい描けばいいってもんでもないと思うんだけど、私はまだまだ経験が足りないから、とにかくいっぱい描いて世に出してムキムキになるのが大事だと思ってね!

なので毎日の暮らしも制作第一・週休2日でお休みの日は取材に出かける、というスタイルをベースにしていました。
平日はだいたいこんな感じで過ごしていたんですが…

うん、ちょっと過激だったわw
自ら望んだこととはいえ、産業革命期に搾取されてた子どもかな?という労働時間になっていますね。
最初の2か月くらいはこれでもうまく回っていたのですが、9月頃から(やりたい仕事を全部受けた結果)締め切りが重なりまくってしまい、週休二日が確保できなくなっていました。
そうなってくると体調を崩したり、疲れて集中力が落ちたりしてしまって、却って作業効率が落ちてしまった気もします。THE・当たり前!
友人に「あやちゃん、キリストですら週一で休むんだからあなたも休みなさいよ…」と言われ悟って以降、少なくとも週に1日はお休みを死守するようにしてたんですが、なかなかに難しかったです…描きたいものがね、ありすぎるんだ…

こんな感じで過激に働いてみて実感したのは、「やっぱり無理は続かねぇな!」ってことでした。時代はSDGsなんだね!
一方で、嬉しい気付きもありました。
バスタブがなくてシャワーだけだったり、キッチンは広かったけど冷蔵庫のキャパがない、手持ちの服も限られているからそれほど選ばなくてよい…などの理由で家事を含む「生活」全般がそぎ落とされてたんですが、私意外と「生活」自体が好きなんだなと分かったのです。
料理とか入浴とか掃除とか、面倒な時もあるけど、すごく楽しんでもいたんだなぁ~。
ここ数日は、帰国後自分でご飯を作って食べるのが楽しみすぎて、日本で作りたいレシピをニヤニヤしながら保存しています笑。
一方で、取材の時以外はほぼアウトプットに徹していたので、期間中は読書や映画に充てる時間がほぼゼロだったことは明確に残念でした。

極端な働き方をしても続かないというのは「そりゃそうだろ」という話なのですが、実際に思う存分やってみたことで、納得して今後の生活、そして働き方を構築して行けそうで、とっても良かったなぁと感じています。
なによりこれだけ描いていても(締め切りなどで気持ちが追い込まれてない限り)、一晩寝て起きるたびに「アア~~ッ今日も描いてこ~!ウフフ楽しいな~!」と毎日思っていたので、自分が漫画を描くのがとても好きなんだと実感できて嬉しかったです。

●件数の話

で、そんなに黙々と描き続けた結果がどのくらいの量になったのかもまとめておきます。

ロンドン日記:約170ページ
渡英の直前に描き始めたイラストエッセイ。
まさに「日記」として趣味で描いていて、当初は毎日更新していたんですが、途中から仕事がきつくなって更新できなくなってしまったのが心残りです…まだまだ描きたいことがあるんだよぅ…!
コマ割りのない箇条書きだし写真も使うしで一般的な漫画の形式とは異なるんですが、実は話の構成や「ヒキ」を作ることなど漫画の技法を活用していて、SNSで継続的に読まれるにはどうすればいいか?という練習でもあると考えていました。
また、まとめとして初めてキンドルインディーズでの電子書籍刊行にも挑戦しました。(無料だから、ぜひみんな読んでね!)
ロンドン日記 (全2巻) Kindle版 (amazon.co.jp)

新連載1(創作漫画):約90ページ
念願の!スウィンギン・ロンドンが舞台の!!創作漫画です!!!
何年も怖くて取り組めないでいた、創作漫画の連載を開始するというのが今年の目標だったので、達成できてほんと~に嬉しいです!もうすぐ公開になるよ~~!!
ちょっとページ数は盛ってますw(3話目がまだ描き終わってないw)
現在アシスタントさんの力を借りつつ(そうだ人生で初めてアシスタントさんにもお願いできるようになったんだった一緒に作品を仕上げてくれてホントにありがとう)5週で1話(約30ページ)を仕上げるというスケジュールで進めていますが、フルカラーということもあり、まだ全然ペースが掴めていません(つまり全然終わんないんだなこれが)

●新連載2(企業案件):4話分(約16ぺージ)
こちらも思わぬ幸運で、日経新聞さんの新規インスタアカウントで創作漫画を連載させてもらえることになりました。
昨今私の中で「イギリスもの」と「メンタルヘルスもの」が2大テーマになっているので、引き続き後者にも取り組む場が頂けてありがてぇ限りです。
まさに今・私と同じように悩みながら生きている読者の皆さんに届くように、インスタに特化した読みやすさを考えながら制作しています。

●マリー・クワント展:イラスト製作
うへぇ嬉しいよぉ(号泣)詳細はこちらです。

●その他:企業広告、映画コメント、インタビューなど
広告関連のご依頼も日本にいた時と変わらず継続してお受けさせていただけました。
ていうか今更ですが、ロンドンでもこうして変わらず仕事が出来ていたのは全面的にコルクと担当さんのお陰なので、感謝しかありません…あじがとうッ…お土産買ってきます…!!!

そんな感じで、ロンドン滞在170日で描いた作品数は約300ページとなりました。
形式がバラバラなので一概には言えませんが、毎日1枚以上フルカラーでなにがしか描いていたと思うと、なかなかヤッタね!という気持ちです。

また、渡英前よりツイッターのフォロワーさんが約+2万、インスタが約+2.7万人増えました。
特にインスタに関しては何年もうまく活用できないでいたので、見つけてもらえるようになって本当に嬉しかったです。
なによりSNSにず~っと苦手意識があったんですが、読者の方と交流できる「楽しいもの」として向き合えるようになったのが、一番の収穫でした。
まじでコメントとかいいねとか、いつも本当にありがとうなんだよ~

こんな感じで黙々と描き続けた170日でしたが、(まッッッッッッッッッッッッッッッだまだ進化が必要とはいえ)作画もネームもちょっと早くなってきたかも!という実感があります。
編集さんとの打ち合わせも、より「キャラクターの内面を追うような話」などになってきて、とっても楽しいです。

一方で…修行の結果、私のフニャフニャメンタルは作家として屈強になれたのか…?
次回はこれを考えてみたいと思います。
ていうか明日が実質ラストロンドンです!
か、帰らんぞ~~~!!!

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竹内絢香

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